曼珠沙華を描きに行こう

スケッチ旅行記

t f B! P L

台風前日

9月は夏の暑さが和らぎ、自転車でのんびり走る「ポタリング」にぴったりの季節。
待ちに待った連休は、ブロンプトンでいろんな所へ出かけよう!と、喜んだのも束の間。天気予報によると、3連休のうち2日間は台風で荒天になるという。

スケッチ旅行に行けるチャンスは1日目のみ。どこに出かけようか迷う中、「野川公園で曼珠沙華の花が咲き始めている」という情報を得た。
曼珠沙華…つまり彼岸花は、特に好きな花のひとつ。ぜひ描きに行きたい。

野川公園は広くてのんびりできる。スケッチをした後はピクニックをしようと、先日買ったばかりのポップアップテントを背負って出かけることにした。
ポップアップテントは思ったよりも大きく、背負った自分の姿はどう見ても亀仙人だった。

野川公園へ

野川公園は広々として、風景がとてもいい。輝く緑はいつ来てもちょっと感動する。

大芝生広場に到着し、早速ポップアップテントを開く。袋から出すとバフン!と音を立てて勢いよく広がった。シンプルにびっくりした。
中に入ってみると、大人が寝転がっても余裕があるほど大きかった。これは簡単なキャンプなら使えるんじゃないだろうか。通販サイトで高評価だった一品、いい買い物をした。

都立の公園は基本的にテントは使用禁止だったが、利用者の要望があり、2021年夏から一部の公園で簡易テントの使用が可能になったそうだ。野川公園もその対象。試用的らしいが、ずっと続いてほしい。

テントを広げた場所の近くで、リクガメを散歩させている女性がいた。
我が家もリクガメを育てているので、話しかけてみると、偶然にも同じヒガシヘルマンリクガメという種類だった。リクガメは日光浴が必要だし、野草を喜んで食べるので、公園で日向ぼっこをさせるのもいいのかもしれない。

テントに腰を下ろして冷たいお茶を飲み、さて曼珠沙華を描こうか…と辺りを見回した。

見渡す限りの緑。どうも曼珠沙華の咲いている気配はない。
かと言って、テントを開いて腰を下ろしてしまったので、すぐに探しに行くのが億劫になってしまった。
とりあえず食欲を満たすことにしよう。

ドリップバッグのコーヒーを入れた。ポットに入れたお湯だが、外で飲むと美味しさが数ランクアップするため、十分に美味しかった。チーズやスナックをコーヒーで流し込む。

足元をてんとう虫が通り過ぎる。
テントのそばには、モグラが掘ったであろう土の跡がある。
時折、調布飛行場に離着陸する飛行機が頭の上を低空飛行していく。

雲を見上げながらぼんやりしていると、睡魔が襲ってきた。
いけないいけない、曼珠沙華を描きにきたんだった!
と自分を奮い立たせ、ブロンプトンに乗って公園内を探しに行くことにした。

ネットで検索した情報では、曼珠沙華は東八道路を渡った北側のほたる池周辺に咲いているらしい。そこまで行くしかないか…と思いながらペダルを漕いでいると、遊具のあるわんぱく広場を過ぎた先に、赤いものが見えた。

あれは…もしや…曼珠沙華が咲いてる!こんな公園の隅に!

曼珠沙華を描く

本数は少なかったが、しっかり満開だ。
土が柔らかい斜面に、ブロンプトンが倒れないようスタンドを立てた。
よし!ここでスケッチしよう。

木漏れ日に照らされた鮮やかな赤が美しい。
じっくり描きたかったが、蚊が多いのと、すぐ横の東八道路の交通量が多くて騒がしいのとで、落ち着いて描くことは難しかった。体中に虫除けスプレーを吹き、蚊と戦いながら、筆を進めた。
周りにベンチも何もなかったので、地面にパレットや水入れを置き、しゃがみ込んで着彩した。体勢がキツイ。

何かに追い立てられるようにあせりながらも、なんとか完成。

どうですか曼珠沙華先輩!と見せてみたが、反応があるわけもなく、曼珠沙華はただただ緩やかな風に吹かれていた。

気がついたら4時間ほど公園にいた。
スケッチしてまったりするだけのつもりで来たが、初めてテントを開いたりリクガメに出会ったりコーヒーを飲んだりと、思ったよりも盛りだくさんの1日になった。何より台風が来る前にブロンプトンに乗れたので、連休が充実したような気がする。

明日からやって来る台風を想像し、身が引き締まる思いで家路に着いた。


野川公園
webサイト:https://musashinoparks.com/kouen/nogawa/

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