うさぎを描きに行こう・前編

スケッチ旅行記

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うさぎのいる神社

世田谷区のとある神社に、うさぎがいるらしい。
長年うさぎ達と暮らすうさぎ好きとしては、反応せざるを得ない情報だ。奇しくもこの日は中秋の名月。今日こそ行って描かねばなるまい。
そう思い立ち、相棒のブロンプトンと共に出発した。

スタートは世田谷線の下高井戸駅。世田谷線での輪行(自転車を公共交通機関に乗せて移動)はせず、あえてここからブロンプトンで向かうことにした。

二両編成の電車が走る世田谷線に沿って走るつもり…が、実は道路はそれほど路線に沿っていない。タイミングよく並走できたのは松原駅〜山下駅付近だけだった。
路線に沿ったかと思えばいつの間にか住宅街を通ったりと、Googleマップのお世話になりながら目的地を目指した。

いちごスイーツのお店へ

細い道を走り続けて、「いちびこ」というお店の前にたどり着いた。人気のいちごスイーツ専門店だ。暑い中ブロンプトンを漕いで汗だくなので、ここで休憩することにした。

店内は輝くいちごで溢れていた。鳥獣戯画風のうさぎのロゴマークがかわいい。
カウンター席には先客がいた。若い女性達が大きなスマホの画面に向かって楽しそうに話している。スタンドを持ち込んで動画を撮っているらしい。確かにここは映えますよねーなどと思いながら「うさもなソフトちょこ」を注文した。この太子堂店限定の新メニューらしい。
テイクアウトして、すぐ近くにある遊歩道のベンチに座って食べた。

ソフトクリームの中にいちごがたっぷりと入っている。食べ応えがあって美味しい。うさぎの最中は、中身が餡子かと思いきやシャーベット状のいちごジャムだった。ソフトクリームがどんどん溶けるのであわてて口に入れる。暑さの厳しい戸外で映えを楽しむ暇はない。
甘く冷たいうさもなソフトに、暑さと疲れがだいぶ癒やされた。

太子堂八幡神社に到着

元気が出たところで再び出発し、まもなく太子堂八幡神社に到着した。
素直に世田谷線で輪行した方が速かったかもしれない。しかし構わない、道に迷うのもブロンプトンなら楽しいのだ!と自分に言い聞かせた。

駐車場に駐輪しようとしたら、「自転車は公園に停めてください」という案内があった。
鳥居の奥にある石段を数段上がらなければ、隣接する公園には入れなかった。ブロンプトンを抱えてえっちらおっちら昇る。公園では子ども達が奇声を上げながら遊んでいる。目立たないよう公園の隅に停めた。もちろん、自転車を地上の固定物に鍵で繋ぐ「地球ロック」をした。

境内に入り、まず手水舎に向かう。
近付くと、自動的に水が流れ出す仕組みらしい。上部には金魚やメダカが泳いでいた。涼しげで和む。メダカの稚魚のようなものが泳いでいたが、同居する金魚に食べられたりしないのだろうか。

柱に「しあわせウサギ(ハッピーちゃん)います」という看板があった。
この神社は案内が多いし、細かいところまで配慮されていて、至れり尽くせりだ。早速行ってみる。

…いない。

柵に囲まれたうさぎ小屋の中には大きな穴が二つあり、目を凝らしたが姿はない。どこにいるんだハッピーちゃん。涼しい穴の奥底で昼寝でもしているのだろうか。
無人ならぬ無兎ではスケッチもできない。仕方がないので、先におみくじを引くことにした。

売り場には様々なおみくじがあった。うさぎのおみくじは2種類あったので、自分の分と、もうひとつは友人へのお土産にすることにした。
今まで引いてきたおみくじのほとんどは大吉。意地でもその記録を崩してはならないと真剣に選んだ。

隣には絵馬所があり、普通の絵馬の他にも犬や猫の顔の形をした絵馬がたくさん下がっていた。うさぎで有名な神社のためか、動物の健康を願う内容が多かった。中には、レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)など爬虫類の似顔絵が描かれている絵馬もあり、爬虫類の流行ぶりを感じた。

おみくじを手にして、再びうさぎ小屋に向かうと…いたいた、ハッピーちゃん

眠そうな顔をしながら、器にあったにんじんのかけらをもぐもぐしていた。お腹が空いて起きてきたようだ。

仏頂面のしあわせうさぎに見守られながら、おみくじを開けてみた。うさぎ型の入れ物から紙を取り出し、やたらギッチリと巻かれた梱包に手間取りながらも開いてみると…

大吉!ありがとうハッピーちゃん!

おみくじには「神仏に頼むのではなく 神様、仏様も毎日多くの人々からお願いをされて大変です。」と神様の愚痴みたいなものが書かれていた。そう言われましても。

うさぎを描く

気を取り直してベンチに腰掛け、今日の目的であるスケッチを始めた。
ハッピーちゃんがいつ巣穴に戻ってしまうかわからないという緊張感。響く蝉の鳴き声。近くの公園から聞こえる子ども達の絶叫。まとわりつく蚊の群れ。遠くから流れて来る祭囃子。夏の終わりを感じる。

描いている最中、ハッピーちゃんの元には次々と参拝客が訪れた。
「うわぁ〜かっわい〜!」とはしゃぐ子ども達。そうでしょうそうでしょう、うさぎってかわいいでしょう…と心の中でつぶやく。
子ども達はこちらがスケッチしていようが遠慮なくバンバンぶつかって来たので、邪魔にならないように巧みに避けながら描き進めた。

15分程でスケッチを仕上げた。
どうですかハッピー先輩!と見せてみたが、ハッピーちゃんはまったく意に介せず口をもぐもぐさせるだけだった。


後編に続く→


いちびこ 太子堂店
webサイト:https://ichibiko.jp/

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